電子書籍の無料化について







「――――電子書籍、読んでますか?」





さて、ちょっとドラマチックな展開が期待できそうな書き出しにしてみましたが、ドラマチックな展開はありません。電子書籍について思うところがあったので書いてみようと思います。

数年前から、電車の中で電子書籍を読んでいる方をチラホラ目にするようになりました。最近は「自炊」という言葉もあまり耳にしなくなったように感じますが、ひょっとすると当時は腰が重かった大手出版社が現在は割りと電子書籍に前向きになり、自炊を必要とするユーザーが少なくなってきたのかもしれません。(憶測)

そんな電子書籍ですが、自分は「ひょっとしたら電子書籍(マンガ)って無料化できるのではないだろうか」と考えています。今の電子書籍は正直コンテンツ料金が高いと思っていて、紙を印刷せずに電子データを転送するだけで提供できるのにこんなに高額なのは、きっと誰かが何かをサボってるからなんだろうなと考えています。なので、もっと安くできるだろうなとは信じているのですが、無料にできるのではないだろうかとも感じるのです。

ではどうやって無料にするのかというと、「全ページの全コマを広告枠として販売する」という方法によって実現します。

例えば、ジョジョの奇妙な冒険の第5部でアバッキオがジョルノにお茶を飲ませるシーンがありますが、その通称アバ茶をクリックしたらリプトンのお茶の購入ページに飛ぶとか。あるいは第3部でテレンス・T・ダービーがやってたゲーム画面をクリックするとスマホアプリのダウンロードページに飛ぶとか。そんな具合です。

ワンピースで言えばゴムゴムの実をクリックすると千疋屋のメロンのページに飛ぶとか。

デスノートで言えばデスノートをクリックするとコクヨのページに飛ぶとか、夜神月の腕時計をクリックするとSEIKOのページに飛ぶとか、"計画通り"の文字をクリックするとアコムのページに飛ぶとか。

まぁ無数に「おっ、ちょっとクリックしたくなるかも!」とユーザーに感じてもらい得るものができると思うわけです。

第一段階

その仕組みをまずは「権利者(出版社とか漫画家とか)が1PV(=1人のユーザーが1ページを見ること)あたりの広告の単価を定め、どのページを誰に何PV分売るかを決める」というスタイルでスタートします。もちろん、広告の単価はページごとに異なります。

最初はどの権利者も疑心暗鬼なので、販売するPV数の最小単位はなるべく大きめにしておきます。(広告枠が売れなかった時のリスクをなるべく下げるため。)

人気の漫画は広告枠も売れやすいので、これにより人気作品を無料で提供できるようになります。このフェーズにおいては、広告無しで読みたい人は1冊500円くらい支払って今までどおり広告無しで読めます。また、残念ながら広告主が見つけられなかったマンガは今までどおり定価で売り続けるしかありません。(佐藤秀峰先生のように無料で作品を提供する方もいるかもしれませんが、ごくごく少数なはずです。)

第二弾階

上記の施策によりいくつかの人気マンガにおいて無料でも売上を上げることができる実績ができると、今度はいかにより多くのマンガを無料にできるかについて考えることになります。あまり販売数が見込めないマンガにおいて売上を上げるためには、より多くの広告主を集める必要があります。

また、この段階になると「このコマのリンクはリプトンじゃなくて午後の紅茶にした方が絶対面白いだろう」のような意見をもった読者が現れてくると予想されます。

そこで、「広告主がどのページを購入するかを決めるのではなく、一般ユーザーがどの広告をどのページ(のどのコマ)に載せるかを定めた、"広告パターン"というものを作成できる」という機能を実装します。広告主は今までどおり広告料を支払いますが、どのページにどの商品へのリンクを配置するかは広告主ではなく広告パターン作成者が決めるということです。広告パターン作成者は広告主が提供する商品の中から最適なものを選び、適切だと信じるコマに貼り付けます。読者はどのマンガをどの広告パターンで読むかを選択できます。「ジョジョを広告パターンAで読む」みたいな感じです。

この時、広告料は権利者の収入になるだけではなく、広告パターン作成者にも一部支払われるようにします。

ただこの広告パターンのCGMはうまく設計しないと「誰かが広告パターンXを作って、そのパターンではどのコマにも広告が存在しない」という状況ができてしまうなど、結局広告無しで無料でマンガを読めてしまうことになりかねないので慎重に設計する必要はあります。

無料化していないマンガの広告がクリックされた場合は、広告料が広告主と広告パターン作成者の2者によって分配されますので、広告主としては広告料の削減につながります。

第三段階(最終段階)

上記の施策により、以下のようなメリットが既にある状態になります。

  1. 本気でクリックさせたいという広告パターンが大量に作られるので、クリック率が上がる。
  2. 数ある広告パターンのうち最もクリック率が高いものがわかり、「どのコマにはどの広告を貼るのが最適か」がわかり広告の最適化が可能になる。
  3. それまで無料化せず定価で売っていた漫画にも広告パターンが作られるようになり、無料化を躊躇していた権利者がその広告パターンに後押しされることによって権利者が無料化に踏み切るケースが現れ始める。

そこで、「自動的に計算された各コマの最適な広告を組み合わせた最強の広告パターンZを用意する」という施策を打ちます。これにより権利者はより多くの利益を生み出せるようになります。

また、出版社を通さずに自由にマンガを提供できる環境を整えたり、マンガを海外に提供するために翻訳機能を付けたりするのもこのフェーズで行います。機械学習を用いて自動的に広告を配置してみるなどの実験もこの段階でやれるかと思います。

まとめ

現状で200ページのマンガが1冊500円で売られているとすると、1ページ分の広告枠を1PVあたり2.5円で買ってくれる広告主がいれば採算が取れる可能性が出てきます。1万部売れそうなマンガなら1ページ2.5万円の広告枠に相当することになります。全ページに広告主がつくことも無いと思うので、1ページあたり5〜30万円とかそんな感じでしょうか。

なんか、意外に現実的な気がしますので、是非興味を持った方はご連絡ください笑 進める上で最も厄介なのは権利者との交渉だと思うので、そういうコネというかスキルを持った方がチームにいないと失敗しますね。